鴨下葉子作品とご本人とに初に巡り会ったのは銀座の画廊での仲間展会場で、
しばし彼女の作品の前に立ちつくしたが、その日からまだそれほどの年月は経っ
ていないが、以来数ある作家の中でずっと私の中から抜け難い画家になってしま
っている。
 鴨下作品が私を放さずにいるのは、私のような彫刻作家が絶えず追い続ける
表現の形象化にも似た苦闘を追い続けているであろうに、画面は何事もなかった
かのような面持ちでこちらに語りかける作の多いことだが、これは作家にとって
の身を削る課題の連続であろうと思う。
 私のように自然に身を任せたような仕事は、ちょっと気を緩めようものなら鼻
持ちならないもみ手ものになり果ててしまうのと同じで、彼女の形象化のつもり
が、軽いウチワ風で空へ飛び去ってしまいかねない切なさを、鴨下さんはその都
度身をもって思い知らされながらの創作活動であろうと、私は自分に照らし合わ
せて失礼な想像をさせてもらいながら、鴨下作品の抑制の厳しさの前に立たされ
てしまうのである。
                                 彫刻家