秘められた美の愛しみとの出逢い
旅に出ると思いがけない出会に恵まれる。
雄麗な大自然の美に接し思わず涙したり、侘しき村ほとりに 出会った一匹の蛍の光に旅情の哀歓忍ばせたり、またあるとき は雪にゆきくれ凍てたる心をさらにとざしたかと思えば、その 凍りたる胸を一気に溶解し激しく熱いときめきを覚える美しいモノとの出逢いもある。
鴨下葉子さんの作品にめぐり逢ったとき私はそのような熱気を感じた、それがどこからくるのか判らないが、強烈にしてまた静寂の中から幽妙なひびきを奏で古代と現代の美しい融合を感じさせる作品の群であった。その異様な絵肌は不可思議な美の創造を展開し、現実の巷に於ける情念を色濃く表出しているかと思えば未知なる宇宙の彼方へ誘う幻想感をいだかせる鴨下葉子さんの世界でもあった。
旅は哀しみ多きことながら時として素晴らしい一瞬の出逢いに恵まれる、その一会をよろこび祈ると共に、哀歓こえてさらに美しく流れをえがき、えがくことの創造を愛する原点に、生きることのとどまり知らぬ鴨下葉子さんの美の創造を祈りたい。

